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フィルムスキャンの顛末(その4、終わり)

2012年5月20日
By murakashi
フィルムスキャンの顛末(その4、終わり)

35mmフィルムは、ストリップ・マウント共にエプソン純正ホルダーでガラス面から3mmの標準位置に置けば、マウントされたフィルムは四隅を水平にホールドされるから問題なく、ストリップフィルムはブローニ判より幅が狭い分ホルダーの押さえが良く効くのでカールを押さえ込んでくれ実用上問題ない(と思う)。カールの酷いのは前述ガラス挟みホルダーで強引に挟み伸ばせばスキャンできる。 さほど酷くはなっていないがビネガーシンドロームが始まったフィルムをスキャンしてみた。 こんなネオパンSSフィルムである。X970のフィルムホルダーでは押さえることは不可能である。           このフィルムを手で開いて(もちろん手袋をつけて)6x6用のガラスで挟みカールが戻らぬよう強引に押さえ込む。このフィルムは反力が強いのでスコッチテープで上2箇所・下1箇所で上下のガラスを固定する。完全に平らには出来ないがレンズの被写界深度がその程度はカバーしてくれるはずである。尚左の写真で前章で述べたように下側のガラスは両面とも平滑な高透過ガラス、フィルムは膜面が下側、上側のガラスが下面(フィルムに接する側)がアンチニュートンリング加工されたANRガラスである。         このフィルムをサンドイッチしたガラスを6x6用に作った手製ホルダーの溝に入れる。ホルダーの一部として黒い薄紙で作った枠がサンドイッチガラスとスキャナーのガラスの間に入るので両者の間にはわずかな隙間が出来、ニュートンリングは発生しない。これをスキャンしたものがこれである。サンドイッチしているとは言っても強い力ではないからよく見るとフィルムは2枚のガラスの間で波打っているのが判ったがスキャン画像には影響ない。   スキャン解像度 壊れ修理不能になったスキャナーの前に同じくニコンの(35mm専用)フィルムスキャナーを使っていた。あるとき最高解像度の2700dpi/8bitでスキャンした画像を某出版社に提供したところ細部が出ないと言われ4000dpi/8bitでやり直してOKとなったことがあって以来、「フィルムの粒子レベルまで出すには4000dpi程度が必要なのだ」と信じている。WEB投稿画像ならここまではもちろん不要であるが、トリミングするなら原画の限度(=粒子レベル)まで上げておくにしくはない。そして、これは近年、メモリ-を2GBにして実現したがスキャン階調をそれまでの8bitから16bitに上げたことにより明るいところから陰のところまでつぶれたと思っていたところにも画像があることが判り、フィルムはこんなに情報量が大きかったのかと見直すようになっていた。 前講釈が長くなったが、前出ピントテストの全画像は,X970は3200dpiの上は4800dpiなのですべて4800でスキャンしている。それなのにフィルム粒子(らしきものも)が判別できない!説明するまでもなくこのスキャンレンズの解像能力が粒子レベルに達していないのである。悔しいがやはりニコンのレンズはすごかった。X970の操作画面にあるアンシャープマスクがデフォルトで「中」の設定にされていた理由もこれで判った。レンズ解像度(不足)をこれでデジタル的に補おうとしているのであろう。サンプル画像のC55のナンバープレートはUSMを効かせていないが全景はUSMを「中」にしてスキャンした画像である。しかし、愚痴っても仕方がない、自分が今使えるのはこのX970しかないし、実用上は(そんな拡大は不要で)十分使える。退色補正の機能も効果ある。昔々のインクジェットプリンター用インクも未だ販売しているエプソンだから「修理部品保存(義務)期間が過ぎたから直せません」とはよもや言うことはあるまいと期待してこれから付き合っていこう。 それにつけても、今回のニコン「製造終了から10年たったので部品が無い」から、と言う言葉には愕然となり腹が立つと言うより身体からへなへなと力が抜けた。私のカメラはニコンでは無いが、何10万もする機械が陳腐化ではない理由で廃却しなければならなくなるのでは、この会社の製品にはもう恐ろしくて手を出せない。古いものでも大事に使う、分野は違うが30年以上前の(イタリア製)圧力鍋の部品を、安くはなかったが、取り寄せ昨年修理したが、このようなことをこの国では期待することが無理な時代が来つつあることを思い知らされた。クールスキャンED! たったの10年でErectile Dysfunction宣告とは! 追記 高画素数デジタルカメラ スキャナーの顛末を書き終えて、気がついたことがある。皆さんは最近のデジタルカメラを使っていてピントが非常に良くなったと感じていないだろうか?35mmフィルムの画面サイズは36x25とすると4000dpiで計算すると約2200万画素となる。これより小さな受光素子サイズにこのような画素数を入れ得たとして果たしてそれに見合うより高解像度のレンズがあるのだろうか?デジタル技術時代といってもレンズはアナログそのもので昔も今も基本は変わらぬはずだ。何故ピントが良くなったと感じるのか?これは「細部までチリチリと細かく輪郭が出ている」ように見える点にあると見る。昔と今もレンズ解像度は大差無い筈だからこれはデジタルカメラ内部で画像を記録する回路中でアンシャープマスク(処理)が働いていると考えられる。生のままでは受光素子の受けた各画像は正直に解像されたままを記録するからシャープなものはシャープに、ダルなものはダルな画像となてしまうから一般受けするようにシャープに見えるようアンシャープマスクをかけておけば「いつもシャープな写真が撮れる良いカメラ」と言うわけだ。覆い焼き・露出変更・褪色補正・色温度変更等々デジタル化に伴う最近の技術変化には目を見張るものがあり、自分もその恩恵にあずかっているが、あくまでもその採否決定権はユーザー側の手にあるべきと思う。
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