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フィルムスキャンの顛末(その3)

2012年5月16日
By murakashi
フィルムスキャンの顛末(その3)

カールの小さいネガでまず全景。筑豊線山家から冷水峠に向けて登ってくる列車である。 このネガをMFホルダーにセットしスキャナーガラス面からの距離を変えたナンバープレート部分を画像処理は何もしていないすっぴん状態で下に示す。             2.5               2.7               3.0               3.1               3.3               3.5   これより最適な位置は3.3~3.5の付近にあることが判った。ただしMFホルダーでもネガ中央部はコンマ数ミリは垂れており、この拡大部分は中央部に近い位置にあるので実寸は(定量的に計測できないので推測)3.0~3.2ではないかと思う。 ガラス2枚でネガを挟み強制的に平面にするホルダーの製作                                  ニコンスキャナーで重宝したのはカールしたフィルムを2枚のガラスで挟んで平らにするホルダーであった。ブローニ判用だが35mmフィルムも挟めるから酷いカールのものも無理矢理開き挟んでしまえば強制的に平面に出来る。ニコンのホルダーはフイルム平滑面を上にしてセットするからこの平滑面に接するガラス面だけがANR加工されている。 このようなホルダーはエプソンもBetterscanning社も発売していないから自分で作るしかない。 平滑なガラスとフイルム(膜面ではない側)を密着させたとき、実際は完全な平面は実在しないから強く当たるところと弱く当たるところ(実際は微小に離れている)ができる。そのとき、微少な隙間に空気があると光が大きく屈折し強く当たった部分を中心に普通は同心円の図形(等間隔線)が現れる。これをニュートンリングと言う。これ以上説明すると付け焼き刃がばれるので後は省略するが、このニュートンリングも一緒に画像として取り込んでしまうからこの発生防止が必要となる。  フィルムは平滑面と膜面(画像面)があり、ニュートンリングは前者と平滑なガラス面が接するとき発生する。膜面はそもそもが平滑ではないから平滑なガラスと接しても問題は起こらない。ANRガラスとは光学ガラスの片面に微小な傷を付け密着しないようにした細密な磨りガラスである。    ガラス屋などを探した結果、左図の構成のものが作れ、これをスキャナーガラス上に置けば良いことが判った。    ANRガラス:Betterscanning社から購入したもの               高透過ガラス:緑色を帯びていない光学ガラス 厚さ3mm         高透過ガラスはスキャナーガラス上に直置きするとニュートンリングが発生してしまうので0.1~0.2mm程度の黒薄紙で作った枠の上に置くことで焦点合わせとリング防止が出来る。尚この配置にするとスキャンした画像は左右反転しているが、これは画像処理ソフトで反転させてやればよい。上図のANRガラス/フィルム/高透過ガラスの組み合わせを上下反転させる組み合わせはスキャンレンズとフィルムの間にANRガラス(細かいキズ)が入ることになりこれはNGである。    製作したガラス挟み込みホルダーである。ブローニ判用であるがもちろん  35mmストリップフィルムにも使える。 高透過ガラスは枠に入れてあるが上から押さえるANRガラスは外して斜めに、さらにANR面を上にしてある。照明の反射像が高透過ガラスはくっきりとしているのに対しANRガラスは(微細加工されているから)ぼやけているのが判るであろう。   製作ついでに、6x6スライドマウント用ホルダーも作ってしまった。大昔ペーパー車体模型電車の窓をカッターで切り抜いたことを思い出した。マウントの厚みを測ったら約1.3あったのでその中間にフイルムが挟まっているとして寸法を決めた。     模式図     完成姿である。   上に斜めにのせてあるのはマウント押さえである。              上記の素材は、ANRガラスは国内で(必ず存在するはずだが)見つからずBetterscanning社、高透過ガラスは大壁商事(http://www.order-glass.com)  適当厚さのゴム・プラスチック板は東急ハンズから購入した。    
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