下北半島連載の4回目(最終回)です。 大畑線(下北交通)に関しては、保存運転が続けられていることがよく知られており、改めて紹介するまでもないかもしれませんが、近況について触れておきます。 大畑駅は、保存が行われていることもあって、ほぼ原型をとどめています。駅もバスターミナルとして使われています。市内の道路標識も「大畑駅」の表示が残っています。バス路線は大湊/下北と大畑、さらに下風呂を経て大間を結ぶ路線が主です。また、下北と野辺地を結ぶ路線もあり、地方のバスとしてはかなり健闘しています。下北の交通へのコミットメントとして、南部縦貫鉄道進出の話もあった大畑線の経営に乗り出したのが、1985年7月。その後15年の運行を続けた実績は高く評価されてよいと思います。2001年4月1日で廃止になっています。 バス交通は全国どこでも厳しいです。下北交通もがんばっているものの、大畑駅は閑散としており、数台のタクシーが時折到着するバスの客待ちをしていました。駅には係員が配置され、定期券の販売や、鉄道グッズの販売を行っていました。 線路の遺構は急速に消えつつあり、特に下北-田名部のむつ市内はかなりわかりにくくなっていますが、大畑付近ではまだ路盤が残っています。国道(旧道)を乗越える橋梁は往時のまま残されています。 下北半島とはいえないかもしれませんが、野辺地からはもう一本線路が延びていました。1997年に休止の後、2002年に廃止になった南部縦貫鉄道です。1962年に開業し、当初は千曳から分岐していましたが、東北本線の複線化にともなう経路変更で、国鉄から旧線を譲り受け、1968年から野辺地に乗り入れました。私は1974年に乗る機会がありました。 今回、天間林、千曳付近を車で走りましたが、痕跡を見つけるのは困難でした。やはり時間的制約が大きかったです。もう一度時間をたっぷりとって訪問したいです。ただ、36年前に訪問したときのイメージと異なり、道路も整備され、都市近郊のような感じになりつつあります。人口20万人以上の八戸や三沢の郊外の延長のような印象です。新幹線の七戸十和田駅が開業すればさらにこの傾向は加速するでしょう。野辺地駅の防風林は昔のままでした。 (昔の写真がスキャンできたら追記します) 参考文献寺田裕一(2007) 「下北交通大畑線」「南部縦貫鉄道」、『私鉄の廃線跡を歩くI(北海道・東北編)』 pp.142-145、pp.150-153、,JTB村田正博(2004) 「下北交通大畑線」、宮脇俊三編『鉄道廃線跡を歩くX』 pp.52-53, JTB
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