Archive for 9月, 2012

三陸沿岸 公共交通の旅 二日目(終)

2012年9月9日
By 野口真弥
三陸沿岸 公共交通の旅 二日目(終)

津波の襲来から1年半。被災地はレンタカーで何回かに分けてほぼ全域を訪れましたが、今回は公共交通機関だけで走破を試みる旅です。初日は八戸から釜石へ。二日目は釜石から仙台を目指します。 二日目はホテルに近いバス停からスタート。三陸鉄道南リアス線に相当する区間ですが、鉄道とは関係なく運転されているタイプ3の路線バス(岩手県交通)です。 途中の「平田第6仮設前」は仮設住宅地の中に仮設されたバス停で、避難生活の一端を感じることができます。90分ほどで盛駅からほど近い「サンリアSC」に到着。 サンリアSCでは待ち時間があったので、徒歩数分の盛駅まで行ってみました。半年前に訪れた時から三陸鉄道の車両に動きは見られません。岩手開発鉄道は休日のため運転なし。駅は静まり返っていました。 続いて大船渡線にあたる区間は一ノ関行きの特急バスです。特急バスとは言っても、一部バイパスを利用しつつ細かくバス停を辿る路線バス。特に陸前高田では市街地(何も残っていない)を通らずに山間の仮設住宅や仮設役所をまわります。 市街地の外れにある奇跡の一本松はバスの車窓からも見えます。見学者(観光客?)向けに通路が整備され、観光バスで訪れている人もいるようでした。報道によれば枯死が確認されたためまもなく切り倒され、保存処理を施して来年3月11日までに元の位置に建てるそうです。 バスは一ノ関行きですが、気仙沼駅前で下車。 気仙沼駅からはパターン1の鉄道代行バスです。鉄道の切符で乗車できるので、ここで東京までの帰りの切符を購入しました。なお、盛〜気仙沼も10月1日から代行バスの運行を開始する旨の張り紙がありました。 駅にはバスロケーションシステムも備えられ、列車時代より案内が親切かもしれません。 この代行バスは、一駅間だけですが元の線路を改築した専用道路を走るのが特徴です。踏切では専用道が優先で、一般道は一旦停止。交通量が多い踏切では警備員が立っていましたが、そのうち遮断機が設置されるのではないかと想像します。 専用道路は今後延伸してゆくそうですが、橋が流されたり築堤が丸ごと消失しているような箇所も多く、そう簡単に延伸できるとは思えませんでした。ただ、道路が峠道で尾根を越えている箇所の鉄道トンネルが専用道になれば効果は大きそうです。 鉄道代行バスは乗降客がいない駅でも停車してドアを開けるなど、路線バスとは違う雰囲気でした。ダイヤも列車並みの正確さで柳津に到着。 柳津駅からは列車に乗り、前谷地と石巻で乗り換えて渡波駅へ。 渡波駅からは再び代行バスで女川駅へ。なお、代行バスの女川駅は列車時代の女川駅ではなく、仮設住宅や仮設役場がある「女川運動公園」に設置されているので要注意です。 バスの折り返しまでしばらくあるので、列車時代の女川駅に行ってみました。 女川駅には列車で何度か行ったことがあるのですが、街全体がすっかり片付けられてどこが駅だったのかはっきりしません。記憶を頼りにそれらしい場所に行ってGPSで確認。言葉もありません。 渡波駅まで戻って列車で石巻へ。すっかり暗くなってしまいましたが、さらに仙石線に乗り換えて仙台を目指します。 本来仙石線は電化されていて205系が走っていますが、石巻側は不通区間により車庫や設備と切り離されてしまったため、現在はキハ110で運転されています。私が乗った時は4両編成でした。 矢本〜松島海岸は今回の旅最後のバスです。すでに真っ暗ですが、以前レンタカーで走った時の光景を思い出しながらの乗車。ただし、津波被害に遭って人が住んでいない地域が真っ暗闇だったのが印象的でした。 松島海岸からは205系に乗り換えて仙台へ。ようやく平常運転の世界に戻りました。 沿線各地は復興にはほど遠いですが、旅行者が公共交通で行き来することに関しては特に障害がないことがわかりました。  
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三陸沿岸 公共交通の旅 一日目

2012年9月9日
By 野口真弥
三陸沿岸 公共交通の旅 一日目

津波の襲来から1年半。被災地はレンタカーで何回かに分けてほぼ全域を訪れましたが、今回は公共交通機関だけで走破を試みる旅です。 まずは金曜日の終業後、会社からそのまま八戸まで行って駅前泊。 9月1日、八戸線で南下を開始。八戸線はすでに復旧しており平常どおりの運転ですが、車窓には津波の被害を受けた光景が目につきます。久しぶりに「非冷房」の列車を堪能して久慈に到着しました。 久慈で列車を一本落として、三陸鉄道北リアス線で南下を続けます。土休日は「リゾートうみねこ」として八戸線から直通運転されている列車で(平日は一般の列車で接続)、3両編成の車内はツアー客でいっぱい。危うく満席で座れないところでした。 久慈〜田野畑はリアス式海岸の険しい地形で、線路は海岸に近付くことができずに標高の高いところを進みます。そのことが結果的に津波の被害を免れる要因になりました。当日は天気もよく、海を見下ろす素晴らしい車窓を堪能したツアー客は田野畑駅で待ち受けるツアーバスに乗り換えて行きました。竜泉洞にでも行くのでしょうか。 田野畑から小本は今回はじめてのバス。 さて今回、鉄道不通区間を走るバスには3つのタイプがあることがわかりました。 代行バス 列車の代わりに運転されているバスで、原則として鉄道駅(前)にのみ停車。鉄道の切符で乗車可能。 連絡バス 列車に接続しているが、路線バスの扱い。鉄道の切符では乗車不可。(定期券は可の場合もあり) 路線バス 鉄道とは関係なく運転されている。ただし、鉄道の不通を受けてルートの一部変更や増発を行なっている場合もある。 鉄道の切符では乗車不可。(定期券は可の場合もあり) 田野畑〜小本はタイプ2の連絡バスでした。乗客は15人くらい。 この区間は国道も沿岸から離れているので、仮設住宅が点在する以外は特に津波の影響を感じることもなく小本に到着。小本〜宮古は再び北リアス線に乗り換え。 出発10分くらい前になったところでツアーバスが到着して、またもツアー客がドドッと乗車してほぼ満席になりましたが、久慈〜田野畑に比べると景色は単調でツアー客は退屈気味でした。訊けば、今晩は浄土ヶ浜に泊まるとのこと。観光でも物見遊山でも、地元でお金を使うことで復興の助けになればいいと思います。 宮古からは山田線に相当する区間、タイプ3の路線バス(岩手県北バス)です。地元の学生さんで混雑していました。彼らは「じゃぁねー」と友達に手を振ってバスを降りて行くのですが、バス停のまわりの建物は津波で流されていたりします。環境は震災前から大きく変わっていますが、すでにそれが日常になってしまっているという印象です。 壊滅的な被害を受けた陸中山田の市街地を抜けて、その先の高台にある「道の駅やまだ」で下車。乗り換えはその一つ先の「船越駅前」でも可能です。 引き続き路線バスで南下、ここからは岩手県交通のバスです。沿線は「復旧」にはほど遠いですが、高台には新築された住宅や店舗、工場もあり、津波被災地でもなんとか残った二階だけでとか、仮設の店舗で営業している飲食店などが増えてきました。困難な状況ですが力強さを感じました。 乗客はどんどん少なくなり、最後は私一人になって釜石駅前に到着。一日目はここまで。浸水被害から復旧したホテル泊。
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