津波の襲来から1年半。被災地はレンタカーで何回かに分けてほぼ全域を訪れましたが、今回は公共交通機関だけで走破を試みる旅です。初日は八戸から釜石へ。二日目は釜石から仙台を目指します。 二日目はホテルに近いバス停からスタート。三陸鉄道南リアス線に相当する区間ですが、鉄道とは関係なく運転されているタイプ3の路線バス(岩手県交通)です。 途中の「平田第6仮設前」は仮設住宅地の中に仮設されたバス停で、避難生活の一端を感じることができます。90分ほどで盛駅からほど近い「サンリアSC」に到着。 サンリアSCでは待ち時間があったので、徒歩数分の盛駅まで行ってみました。半年前に訪れた時から三陸鉄道の車両に動きは見られません。岩手開発鉄道は休日のため運転なし。駅は静まり返っていました。 続いて大船渡線にあたる区間は一ノ関行きの特急バスです。特急バスとは言っても、一部バイパスを利用しつつ細かくバス停を辿る路線バス。特に陸前高田では市街地(何も残っていない)を通らずに山間の仮設住宅や仮設役所をまわります。 市街地の外れにある奇跡の一本松はバスの車窓からも見えます。見学者(観光客?)向けに通路が整備され、観光バスで訪れている人もいるようでした。報道によれば枯死が確認されたためまもなく切り倒され、保存処理を施して来年3月11日までに元の位置に建てるそうです。 バスは一ノ関行きですが、気仙沼駅前で下車。 気仙沼駅からはパターン1の鉄道代行バスです。鉄道の切符で乗車できるので、ここで東京までの帰りの切符を購入しました。なお、盛〜気仙沼も10月1日から代行バスの運行を開始する旨の張り紙がありました。 駅にはバスロケーションシステムも備えられ、列車時代より案内が親切かもしれません。 この代行バスは、一駅間だけですが元の線路を改築した専用道路を走るのが特徴です。踏切では専用道が優先で、一般道は一旦停止。交通量が多い踏切では警備員が立っていましたが、そのうち遮断機が設置されるのではないかと想像します。 専用道路は今後延伸してゆくそうですが、橋が流されたり築堤が丸ごと消失しているような箇所も多く、そう簡単に延伸できるとは思えませんでした。ただ、道路が峠道で尾根を越えている箇所の鉄道トンネルが専用道になれば効果は大きそうです。 鉄道代行バスは乗降客がいない駅でも停車してドアを開けるなど、路線バスとは違う雰囲気でした。ダイヤも列車並みの正確さで柳津に到着。 柳津駅からは列車に乗り、前谷地と石巻で乗り換えて渡波駅へ。 渡波駅からは再び代行バスで女川駅へ。なお、代行バスの女川駅は列車時代の女川駅ではなく、仮設住宅や仮設役場がある「女川運動公園」に設置されているので要注意です。 バスの折り返しまでしばらくあるので、列車時代の女川駅に行ってみました。 女川駅には列車で何度か行ったことがあるのですが、街全体がすっかり片付けられてどこが駅だったのかはっきりしません。記憶を頼りにそれらしい場所に行ってGPSで確認。言葉もありません。 渡波駅まで戻って列車で石巻へ。すっかり暗くなってしまいましたが、さらに仙石線に乗り換えて仙台を目指します。 本来仙石線は電化されていて205系が走っていますが、石巻側は不通区間により車庫や設備と切り離されてしまったため、現在はキハ110で運転されています。私が乗った時は4両編成でした。 矢本〜松島海岸は今回の旅最後のバスです。すでに真っ暗ですが、以前レンタカーで走った時の光景を思い出しながらの乗車。ただし、津波被害に遭って人が住んでいない地域が真っ暗闇だったのが印象的でした。 松島海岸からは205系に乗り換えて仙台へ。ようやく平常運転の世界に戻りました。 沿線各地は復興にはほど遠いですが、旅行者が公共交通で行き来することに関しては特に障害がないことがわかりました。
Read more »