- 2,構内車両展示
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所属車両勢揃い
軌道事務所の1Fの車庫に、砂防軌道現用車両の冷蔵車以外の全形式(貨車含む)に加え、保存機の加藤4t機が展示してあった。いずれの車両も近付き放題であった上、機関車はキャブが解放されており(加藤も!)、至れり尽せりである。ファンの視線はやはりKATOに集中しており、私も恥ずかしながら野口氏に記念写真を撮って頂いた。車庫の奥の方には黒部峡谷のパノラマ客車風の人車が1両留置してあったが、スタッフに聞いてみたところ、予想通り「視察車」とのこと。あまり聞き慣れない車両であるが、要は「貴賓車」で、当線や林鉄、製糖軌道のような規模の大きい産業軌道にはよくある車両である。

かなり恥ずかしいショット
土建関連の事務所が運営している故か、市販の建設機械に下回りをくっつけただけ、というようなユニークな車両が多い。極めつけは「高所作業車?」で、工場などで見かける同類の機械そのまんまである。車両の手入れの良さや車体色(グリーン)とも相俟って、ナロー軌道の車庫というよりは、「レンタルの○ッケン」の営業所にいるような感覚に襲われる。


連結器は原則としてウィルソン式自連を使用しているが、長尺物輸送用貨車(JRで言うところの「チ」)のみピンリンク式連結器を使用していた。この車、2両ユニットでレール等の輸送に使用されているのだが、自連だと連結器上端が貨物の積載面上にはみ出してしまうのでピン・リンク連結器を使用せざるを得ない。機関車にはピン・リンク連結器は装備されていないので、連結はどうやっているのかな…と興味津々覗いてみると、なんとピンリンク式⇔ウィルソン式のアダプターがユニット端の車両に…。かなり荒っぽい代物で、一見の価値あり。

ピンリンク式⇔ウィルソン式アダプター(一見の価値あり?)
車庫を見て驚くのは、JR顔負けの設備の整いぶりである。車庫構内は車両類が乗り入れしやすいように全面コンクリート舗装されている上、全留置線にピット・照明が完備、おまけに営業鉄道含めても全国でここだけという砂撒用焼砂の製造設備まで備わっている(JRですら、業者から購入しているのに…)。本線の軌道についても15kgの重軌条に草一つない整備ぶりで、杉氏が「2フィートの新幹線」と言っておられたのも頷ける。
- 3,ゲスト車両走行実演
- 立山砂防本来の車両の他、「過去から現在に至るまでのトロッコの動力を学ぶ」というタイトルで、以下の車両がゲストとして招かれていた。
 | 松山人車軌道復元客車(宮城県松山町所有) |
 | 基隆炭坑5t蒸機(羅須地人鉄道協会所有) |
 | バッテリーサーボロコ(トモエ電機所有) |
開場中は撮影時間以外、これでもか!という位に構内本線上を行ったり来たりしていたが、展示区間にそこそこ急な勾配があり、正位が登り向きになるように工夫されていたので、蒸機の走行展示は小型機ながらもなかなか見ごたえがあった。逆に可哀想なのは人車で、当時の人夫の服装を再現しているためにただでさえ暑そうな所に、走行展示の度に大汗かきながら勾配を押し上げることに…。おまけにナレーターが人車・SL・BLの「並走」をやたらリクエストするので、蒸気やBLに合わせ、抜かれながらも精一杯の速度で勾配を這い上がっていた。ご苦労様です…。
入場者の人気はやはり圧倒的に蒸機に向いていたが、BLの運転手がディスコのDJばりに警戒用ミュージックホーンの曲(工場で自走クレーンやAGVが鳴らしているようなモノです)を切り替えて遊んでいたのには一般客からも笑いが起きていた。
いずれも日本のナロー史からみれば異端に含まれる車両ではあるが、実際に動いているところをふんだんに見るのはなかなか楽しいものである。いずれの車両も動いていない時間帯は構内踏切(トロッコサミットのために買ったものらしい)の横に撮影しやすいように留置してあったが、あまり見る機会のないBLの運転席をじっくり観察できたのは収穫であった。重連総括が可能であるのにはビックリ。その他にも多彩な機能が建築機械ばりに分かりやすくレイアウトされており、近年のBLの進歩について認識を新たにした。
- 4,その他
- 保線実演や作家吉友嘉久子氏によるトークショー、出展団体の模擬店、とん汁の無料提供コーナーなど、他にも数多くの催しが実施された。
模擬店では自治体の他、羅須地人鉄道協会さんも出展されていた。面白かったのは自前の軌道で実際に使用した「犬釘」。値段も手頃だったので、一本土産にさせて頂く。
印象に残ったのは、催しが始まる際の客引きの凄まじさ!。これは一見の価値あり。
続き(カルデラ博物館〜戦い済んで)
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