500系のぞみにパンタグラフはついているか
1997卒 野口 真弥
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500系の翼型パンタグラフ
電車の多くにはパンタグラフがついています。言うまでもなく架線から電気を取り入れるための装置なのですが、そもそもパンタグラフというのはリンク機構の名前です。パンタグラフ機構の「簡単なリンク機構である部分の動きを一次元に拘束できる」という幾何学的性質を利用して、集電シューを上下に動かすのが集電装置としてのパンタグラフです。
しかし、パンタグラフではない集電装置もあります。初期の電車に多く用いられたポールもその内の一つ。竿の先に滑車をつけて、これを架線に押し付けて集電します。ビューゲルも滑車が集電シューに変わっただけで基本的な考え方は一緒です。
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ポール
一方、一見パンタグラフ機構ではないけど、ちゃんとパンタグラフな集電装置もあります。最近のシングルアームパンタグラフも、メインのアームの脇に細いリンクがあってパンタグラフ機構を構成しています。新幹線の場合はメインのアームが中空になっており、その中にリンクが通っていて、ちゃんとパンタグラフになっています。
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最近300系にも装備されているシングルアームパンタグラフ
それでは500系の翼型パンタグラフはどうでしょう。実は、500系の集電装置はエアシリンダで集電シューを押し上げる方式で、そこにパンタグラフ機構はまったく使われていません。500系にパンタグラフはついていなかったのです。
しかし、集電装置の名前は翼型パンタグラフ。「パンタグラフ」は本来の意味に加えて、いつの間にか鉄道車両の集電装置をも意味する言葉になってしまったようです。ま、普通の生活にはなんの影響もないので、どうでもいいといえばどうでもいいのですが、機械好きの私としてはちょっと気になります。
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